デンタルニュース

歯ぐきのおはなし

お口を見てみましょう、とお話しすれば8割以上の人は、歯を見るでしょうか。

お悩みを聞くときには、やはり多くの人が歯について語り始めます。

お口といっても歯だけではなく、歯ぐきや舌など見えるものはたくさんあります。
唾液腺の出口や粘膜は沢山の部位に分かれ、さまざまな名前があります。

今日はそんな狭いけど奥の広いお口の中から、歯ぐきについてお話ししてみましょう。

歯ぐきについてよく話題になるのは、色、形、できものの有無が多くを占めます。
色が悪いとか、形の異常、できものがあるとか舌に触れた時の感触、いろいろと出てくるものです。

診察を受けると歯科医師や歯科衛生士はこの辺りをよく観察しています。

同じ人の口の中でも部位によってさまざまな様子を示していて、その患者さんの生活習慣まで読み取れることもあります。

毎日いい加減に歯磨きしているな、とか、歯科医院に来る前に駆け込みで慌てて歯磨きしたな、とか、昔は大きな横磨きだったのに最近の歯磨きはうまくいってるみたいだな…なんて結構お見通しだったりします。

健康な歯ぐきにはスティップリングという小さな点が確認できます。
ハリとツヤがあり、みずみずしいピンクをしています。
歯ぐきのチェックをしても出血は見られません。

歯周病が進んだ歯ぐきでは、健康度合いを示すスティップリングは消失し色が赤黒く見え、ハレていたり、歯ブラシ時の出血を伴ったり、ひどい場合はウミが出たりしています。

また、喫煙者であれば歯ぐきはニコチンやタールの影響を受け、毛細血管が収縮したりして色味は黒っぽく見え、繊維化した硬さがあります。
この特徴は煙の影響を受けやすい上あご側によく見て取れます。
このような毛細血管の収縮により、歯周病にかかっていても出血がなく病気の発見が遅れる傾向にあります。

歯の神経に虫歯が進んでしまったケースでは根の先の膿の出口が無く、歯ぐきに穴が開いたりしていることもあります。

噛み合わせの異常で独特の形に歯ぐきの形態が変わることもありますし、歯磨きのクセにより、歯ブラシで歯ぐきが削れていることもあります。

歯ぐきは実はとても素直な組織で、しっかりとケアに取り組むと割りとすぐに反応して結果を出してくれる組織です。

そのためその次のケアのお約束までにお口の中が大きく変わり、びっくりするほど良好になることもよくあります。

柔らかい組織なので傷をつけるような磨き方はご法度です。
マッサージになる程度の適正な力加減でケアをしていきましょう。そのあたりのチェックは歯科衛生士がしっかりとお伝えすることができます。

なかなか大きく口を開けて覗いてみても分かりにくい歯ぐきの様子は、定期的にかかりつけの歯科医院で観察してもらいましょう。